Shopifyで複数の実店舗や発送拠点を運営していると、注文後の連絡をどの担当者へ届けるかが課題になります。
すべての注文通知を全店舗のスタッフが受け取る運用では、自分の担当ではない通知が増え、確認漏れや対応の遅れにつながりかねません。特に店舗受取を提供しているストアでは、注文に早く気づけるかどうかが、商品の確保やお客様への案内に影響します。
このような場合は、Shopify FlowとLINE連携アプリを組み合わせることで、注文に割り当てられた店舗・ロケーションに応じて通知先を振り分けられます。
本記事では、複数拠点を持つShopifyストアが店舗別LINE通知を導入するときの仕組み、設計方法、注意点を紹介します。
店舗・ロケーション別のLINE通知で解決できること
店舗別通知は、次のような運用に活用できます。
- 店舗受取の注文を、受取店舗の店長やスタッフへ知らせる
- 発送担当ロケーションへ、対応が必要な注文だけを通知する
- 店舗ごとに通知先を分け、不要な通知を減らす
- スマートフォンから注文管理画面をすぐに確認できるようにする
- 新店舗の通知設定漏れを、本部への予備通知で検知する
メールをなくすこと自体が目的ではありません。担当者が普段確認しているLINEへ必要な情報だけを届け、注文確認から対応開始までの時間を短くすることが狙いです。
Shopify Flowで店舗別通知を行う仕組み
基本構成は、次の4つです。
- 注文の作成をきっかけにShopify Flowを開始する
- 注文に割り当てられたロケーションを確認する
- 店舗コードやロケーション名で条件を分岐する
- 条件に一致した担当者へLINEメッセージを送る
Shopifyでは、オンライン注文が在庫状況や注文ルーティングの設定に基づいて発送ロケーションへ割り当てられます。その割り当て情報をFlowの条件に利用します。
通知には、注文番号、合計金額、注文日時、担当ロケーション、注文管理画面へのリンクなどを含めると、受信後の確認がスムーズです。
導入前に決めるべき3つのこと
1. 何を基準に「担当店舗」を判定するか
最初に、どの情報を通知の振り分け基準にするかを決めます。
候補には、発送を担当するロケーション、店舗受取の受取場所、Shopify POSで販売した店舗などがあります。これらは同じ「店舗」に見えても、Shopify上では参照する情報が異なる場合があります。
例えば、オンライン注文を在庫のある倉庫から発送する場合は、注文に割り当てられたフルフィルメントロケーションが基準になります。一方、店頭受取の準備通知では、お客様が選択した受取ロケーションを基準にした設計が必要です。
運用目的と判定項目がずれると、別店舗へ通知される原因になるため、先に注文パターンを整理しておくことが重要です。
2. 1件の注文を複数ロケーションで処理する可能性があるか
複数ロケーションで在庫を管理している場合、1件の注文が複数拠点へ分割されることがあります。
単純な「A店に一致しなければB店を確認する」という分岐では、A店とB店の両方が担当する注文でも、最初に一致した一方へしか通知されない可能性があります。
分割注文が発生するストアでは、注文内のフルフィルメントオーダーを拠点ごとに処理し、それぞれの担当者へ通知する構成を検討します。分割を許可しない運用であれば、注文ルーティングや在庫配置も含めて設計を確認します。
3. 誰のLINEへ、どの情報を送るか
LINE連携アプリから個別通知を送るには、通知先となるスタッフのLINEアカウントとShopify上の顧客情報を連携する方式があります。
担当者の変更や異動も考慮し、店舗名をFlow内へ直接大量に書き込むのではなく、「店舗コード」「通知先」「予備通知先」を一覧で管理できるようにしておくと保守しやすくなります。
注文管理画面のURLには管理権限が必要です。通知へ氏名・住所・電話番号などを載せすぎず、LINEには業務開始に必要な最小限の情報だけを記載することも大切です。
店舗別LINE通知の構築手順
ステップ1:ロケーション名と店舗コードを整理する
Shopify管理画面の「設定」から「ロケーション」を開き、店舗や倉庫の名称を確認します。
判定には、変更されやすい店舗名全体ではなく、店舗ごとに固定したコードを使う方法が適しています。
例:
10001|清水店10002|静岡店20001|本部倉庫
Flowでは「ロケーション名に10001を含む」と判定することで、表示名を少し変更しても条件が壊れにくくなります。
ステップ2:LINE連携と通知先を準備する
Shopify FlowからLINEへ通知するには、Flowアクションを提供するLINE連携アプリを利用します。
例えば「CRM PLUS on LINE」では、ShopifyとLINEのID連携や、Shopify Flowを利用したLINE配信の自動化に対応しています。プランや利用上限は変更される場合があるため、導入時に公式料金ページで最新情報を確認してください。
個別のスタッフへ通知する場合は、一般的に次の準備を行います。
- 通知を受け取るスタッフ用の顧客情報を用意する
- 公式LINEを友だち追加してもらう
- Shopifyの顧客情報とLINE IDを連携する
- Flowで使用する通知先IDを確認する
ステップ3:Shopify Flowで条件分岐を作成する
注文作成を起点にする場合は、「Order created」をトリガーとしてワークフローを作成します。
その後、注文に関連するフルフィルメントオーダーの割り当てロケーションを確認し、店舗コードごとに通知アクションを設定します。
単一拠点で処理される注文だけなら、店舗コードによる条件分岐で構成できます。複数拠点へ分割される可能性がある場合は、フルフィルメントオーダーごとに処理するループ構成を検討します。
最後に、既知の店舗コードへ一致しなかった注文を本部へ送る「フォールバック通知」を設けておくと、新店舗追加時や名称変更時の設定漏れを発見しやすくなります。
ステップ4:現場で判断しやすい通知文を作る
通知は、情報量を増やすよりも、担当者が次の行動を判断できることを優先します。
通知例:
【清水店】対応が必要な注文が入りました
注文番号:#1234
合計金額:12,800円
注文日時:2026/08/09 10:30
担当ロケーション:10001|清水店
詳細:Shopify管理画面の注文URL
注文日時は日本時間、金額は円表記に整えます。管理画面URLを付ける場合は、受信者に対象ストアの閲覧権限があることも確認します。
ステップ5:実際の注文パターンでテストする
公開前は、下書き注文やテスト注文を使って動作を確認します。「通知が届いた」だけで完了せず、次のパターンを確認することをおすすめします。
- 各店舗へ割り当てられる通常注文
- 店舗受取の注文
- 1件が複数ロケーションへ分割される注文
- 在庫切れや手動変更で、割り当て先が変わる注文
- 未登録の店舗コードを含む注文
- キャンセル・編集・再割り当てが発生した注文
Shopify Flowの実行履歴も確認し、条件がどのデータを参照し、どの通知アクションを実行したかを記録しておきます。
導入時に注意したいポイント
LINEアプリと公式アカウントの利用上限
LINE連携アプリの料金は、ID連携ユーザー数や利用機能によって異なります。また、LINE公式アカウント側にもメッセージ通数のプランがあります。
「1注文につき何通送るか」「分割注文では何店舗へ送るか」「本部にも同時通知するか」をもとに、月間の想定通数を計算しておきます。
Flowを開始するタイミング
「注文作成時」に必要なロケーション情報が確定していない構成では、短いWaitを入れてから条件判定する方法や、別のフルフィルメント関連トリガーを使う方法を検討します。
どのタイミングが適切かは、注文経路、在庫設定、注文ルーティング、利用アプリによって異なります。
担当者変更と新店舗追加への備え
通知の自動化は、作成時よりも運用開始後の保守が重要です。
- 店長や担当者が変わったときの通知先変更
- 新しいロケーションを追加したときのFlow更新
- ロケーション名を変更したときの条件確認
- LINE連携が解除された場合の予備連絡
- アプリやShopify Flowの仕様変更時の動作確認
店舗コードと通知先の管理表を用意し、変更時の確認手順を決めておくと安全です。
店舗別LINE通知が向いているストア
次のような場合は、Shopify Flowを使った店舗別通知が候補になります。
- 複数の実店舗や倉庫で注文を処理している
- 店舗受取の準備連絡を早めたい
- 担当外のメールが多く、重要な注文を見落としやすい
- 店舗ごとに通知内容や通知先を変えたい
- 将来の店舗追加を見据えて、通知ルールを整理したい
一方、複雑な承認フロー、グループLINEへの送信、外部在庫システムとの双方向連携、障害時の再送制御まで必要な場合は、Flowだけで完結させず、外部システムや専用アプリを組み合わせる設計が適しています。
具体的な設定手順
ロケーション名の設定例、LINE IDとの連携、Shopify Flowの分岐、通知文のLiquidテンプレートについては、技術ブログ「ゆるふわなねこ」で詳しく紹介しています。
【Shopify×LINE】店舗・ロケーション別に注文通知を自動で振り分ける方法|Shopify Flow活用術
実装前には、利用中のテーマやアプリを複製・検証環境で確認し、各店舗のテスト注文を行ってから本番運用へ切り替えてください。
Shopify Flowを使った業務自動化をご相談ください
MottuDesignでは、Shopifyの構築・運用支援に加え、Shopify Flowを使った通知、タグ付け、顧客管理、店舗運営の自動化にも対応しています。
「店舗ごとに通知先を分けたい」「店舗受取の見落としを減らしたい」「分割注文にも対応できるFlowを設計してほしい」といった段階からご相談いただけます。